「キラーパス」というのをご存知だろうか?
元サッカー日本代表の中田英寿が得意としていた、誰もが予想していない切れ味が鋭く
正確で得点を演出するようなスルーパスのことだ。
そこから意味が転じ、合コンで誰もが予想をしていないような、それでいて的確であり
相手の印象を確実にアップさせてくれるような話のフリのことなども指すようになった。
これ以外にも、この言葉は様々な場面に適用できる言葉である。
例えば、わざと芯を外し試合の流れを作るヒットを打ったイチローの技術や
明をデビルマンという存在に誘った、了という存在。
舞台でいうところの演出家であり、オーケストラのコンダクターもそうと言えるかもしれない。
つまり、その時の状況を一変させてしまうことや、ブレークスルーを生むことを
アシストする存在や事象のことを指すと言える。
そして私は、イラストにおける一つの「キラーパス」を発見してしまった。
とにもかくにもこれを見ていただきたい。

そう。ドラえもんだ。
どんなキャラクターであれ、「ドラえもん風」にすることで一瞬にして「笑える」という
ことを発見してしまったのだ。
あのデューク東郷ですらこの有様だ。
このイラストを書いていて、けっこう仮面と一瞬錯覚したことはここに記しておきたい。
試しにもう少し見ていただきたい。
昨年、知り合いから全く似ていないと評判だった、「慰留する医龍」という
イラストを描いたことがある。

本当に似ていない。なんの深みもへったくれもない作品である。
ここにこうやって出すことすらファンの方に申し訳ない。
ただ、医龍という作品が持つ緊張感や威厳、テーマ性からその作品の人気や印象は
記憶に新しい。
この慰留する医龍をドラえもん風にするとこうなる。

医龍の深いテーマ、緊張感がぶっ飛んでしまった。
深夜ばったりあった相当危ないお兄さんだ。
ヒゲも自分で書いたんだろうか。
「まぁ待て」なんて言われても、出てくるのは笑いだけだろう。
次は、日本人にとってなじみの深い、「金剛力士像」だ。
時間の都合上「阿形」のみの紹介とさせていただく。

これをドラえもん風にするとこうなる。

なんということだろう。
一瞬にして、休憩時間を守らない子供を叱る、プール監視員のおじさんに変身してしまった。
怖い。確かに怖い。
ただ、このおじさんに怒られても、休憩時間が過ぎれば、子供達は一斉に
このおじさんのところに集まって行くに違いない。
一体何が、このおじさんに、このような水着を買わせたのか。
子供にモテる、というAXEのような広告メッセージがあったのだろうか。
金剛力士像をこんなふうにしてしまい、バチが当たらないか心配になるくらいだ。
ご覧いただいたように「ドラえもん化」することで、怒りや恐れや怖さが一瞬にして無くなり、
一気に「笑」の感情が出てくる。
今風に言うと、「ドラえもん(笑)」と言ったところか。
この効果の高さに、逆に恐ろしさを感じてしまうほどだ。
そこで、一つ提案がある。
戦地に赴く日本の自衛隊の方のユニフォームをこの際、ドラえもん風にしてしまうというのはどうだろうか。
そのユニフォームを見ただけで、怒りや恐れや怖さ、そういった感情が吹っ飛ぶ。
ただ、着ているだけでいいのだ。
話題になり、世界中のメディアでも取り上げられるだろう。
世界中に少しずつ「笑」の和が広がって行くのがイメージできる。
美しい国、かっこいい国、品格のある国もいいが、それよりも笑える国のほうがよいのではないだろうか。
日本の自衛隊のユニフォームが、世界を平和にする。
つまり、ドラえもんは「笑」のユニバーサルデザインだと言える。
私は考える。ドラえもんがポケットから一番出したかったものとは何か。
それは、ドラえもん自らの着ぐるみだったのかもしれない。
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