- 2007-12-13 (木)
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永田農法というのをご存知な方も多いと思います。
今までの農業で常識と言われていたことをどんどん崩していき
安全でおいしい野菜や果物を作る方法を編み出した永田照喜治さんが
開発した農法です。
永田さんは現在も日本だけでなく、世界中を飛び回り、永田農法の研究と
普及に努めていらっしゃいます。
その永田さんや永田農法について、詳しくまとめられている本を先日読みました。
そして、その本を読んでいて、この考え方や取り組み方は農業だけでなく
どんな業種の仕事にも使えるのではないかと思いました。
たくさん得ることがある本だったのですが、その中で一つの事例を要約して
ご紹介します。
現在の農業は、土壌が豊かであることや有機農業といわれるような天然の有機物に
よる肥料などを用いる有機農業、水も定期的にたくさん利用する方法などが
有効だといわれている。しかし、永田さんが様々な体験や実験から導きだしたことは、
・土地は風通しがよく石ころだらけの栄養分が少ない場所
・水は極限まで与えない
・肥料は少量の液肥のみ
・薬は使わない
という方法であった。これは、今までの常識から考えると「狂気の沙汰だ」と厳しく批判された方法であった。
常識と言われていた従来の方法が「肥えた土壌に、豊富な肥料」という方法だったが
永田農法は、「痩せた土地に少量の液肥」という真逆のやり方をしていた。だが最初反対していた人達も、できた野菜や果物を食べてみると、誰もがびっくりする
味ができ、だんたんと理解者が増えていった。なぜ、土壌が豊かなほうがいいという認識や多くの肥料を使う方法がまかり通っているのか。
永田さんは、「それは生産者や流通業者が自分の都合しか考えていないからです」と話す。
アメリカ型の農業が日本に入ってきて、面積辺りの収穫高を上げる方法が主流となる。
そして、なるべく見た目がよい、日持ちするように加工された野菜や果物が流通業者や
販売店側に好まれ、そういうものが店頭に並ぶようになった。しかし、それは目の前の経済効率性を重視するあまり、人間の都合のよいように
コントロールするために植物が本来持っている味や安全性や生命力は無視した方法であると
永田さんは嘆く。消費者にとって何が一番よいか、という視点が抜けている。
そのようにできた野菜や果物が、おいしい、安全であるはずがなく、野菜嫌いの子供が
増えるのもよくわかる。子供は味に敏感で正直なんだと、永田さんは言う。
永田さんは、永田農法で育てることで、野菜や果物が本来持っている
生命力があふれんばかりに輝く、おいしく安全な野菜ができるようになった。そして、そのおいしさを追求して行くと、原生地に近い環境を再現することがよい、
ということがわかってきた。元々野菜や果物は野生の中に生えていた。
そこには当然、肥料も無くたくさんの水に恵まれている訳でない過酷な環境で育っていた。上述したような生産者や流通業者の都合で、早く大量に生産できるように豊かな土壌で、
大量の肥料をまき、おなじような形にそろえられるようなものではなかった。本当のおいしさを再現するには、原生地を再現する、ということがわかってからは
その野菜や果物にあった土地を日本や海外も含めて探し歩いている。80歳になる永田さんが、今もなお現役で精力的に活動しているのは、
「安全でおいしい野菜をみんなに食べて欲しい」
その想いにつきるようだ。
この本はこちらです。
「農業」ということを軸にいろいろな内容が書かれていますが
業種に関係なく、たくさんのヒントを得ることができる本だと思います。
上記の要約の中で僕がとても興味を引いたのは以下の4点でした。
1.野菜が本来持っている生命力を高める
2.経済効率性を重視するあまり、一番大切なことをおざなりにしている
3.おいしさを追求していくと、原生地を再現するのがよい
4.「安全でおいしい野菜をみんなに食べて欲しい」という想い
1.野菜が本来持っている生命力を高めること
これは、農業で言うと野菜や果物ということになりますが、違う業種に当てはめることも
できると思います。
個別の商品であったり、もしくは組織やチームを作っている個々の「人」であったり。
野菜が生命力を持つ為に、痩せた土地で少量の液肥や水は極限まで与えない
ということが大事であると永田さんは書いていました。
そのような環境になると、野菜が「自分から生きよう」とし、それが生命力が
あふれんばかりに輝くことになると。
例えばですが、「野菜」を「営業職の人」と置き換えてみる。
その場合の「痩せた土地」「肥料」「水」というものは何に当てはまるか?
そして、「生命力」というのは何になるか?
そのように人や商品などに置き換えてみると、仕事のヒントが出てきそうな気がします。
2.経済効率性を重視するあまり、一番大切なことをおざなりにしている
これは、正直に言うと恥ずかしながら僕もそうですが、思い当たることがあります。
「売上げ」や「対前年比」など、数字でほとんどが判断されてしまう中
お客さまにとって一番大切なことよりも、その数字を優先させてしまう
ということは、様々なところでありそうです。
個人の力だけで解決できないことも多くあるかもしれませんが、
一度今扱っている商品などについて、
・元々はどういうことをしたくてこの商品を開発したのか?
・なぜ現在○○という方法をとっているか?
ということを考えて行くと、経済効率性を重視した為におざなりにした
大切なことが浮かび上がってきそうな気がします。
これは、商品だけでなく、「会社」としてもよいかと思います。
一度は自分が勤めている会社について、このように見てみるのも
よい意味で面白いと思います。
また、この経済効率性ということも含め、最近読んだ中で血がドクドク流れる
ような思いをした、とても面白い本がありました。
この本については後日、また改めてご紹介できればと思います。
とんでもなく面白い本です。
3.おいしさを追求していくと、原生地を再現するのがよい
ここには大きく2つのことがあると思います。
・追求していくこと
・原生地を再現
追求して行くことについては、よく言われるような現状に満足せず
よりよくなるための工夫をするということになるかと思います。
これも、身近ものからでもやってみてもよいかもしれないですね。
なんでいつもここにゴミ箱があるんだろう?とか、どうしてあの人は
いつもあのクリアファイルを抱えているんだろうか?とか。
なんでもいいので、疑問を持つこと、ということが始まりで
それが「よりよくするためにどうすればよいか?」ということに繋がるのだと
思います。
この本の中でも、常に「仮説」と「検証」が繰り返されていること
その仮説を導きだす為の疑問を常に持っているような印象を受けました。
そして、原生地を再現ということについてですが、これは上記「1」の中の
「水」にも当てはまりそうですが、マネジメント層の役割として非常に大事なことの
一つだと思います。
「野菜」を「人」とした場合、その人が最もパフォーマンスを発揮する「環境」は何か?
ということを研究していき、その環境を実現すること。
一緒にやっているメンバーが一番パフォーマンスを発揮できる環境は何か?
扱っている商品が一番パフォーマンスを発揮できる環境は何か?
この技術が一番パフォーマンスを発揮できる環境は何か?
環境として何が必要かを考え、整備するということの大事さを
教えてくれているように思います。
「水」は、対象となる野菜がこれ以上水が無いと枯れる!という状態まで
与えるのをガマンし、極限だと判断した時に最低限の水をあげるそうです。
これもマネジメントという面で非常に大事なことを教えてくれているように思います。
自分の職場に当てはめてみると、水は何になるか?
何を持って、極限だと判断するか?
ただし、注意しないといけないのは、永田農法は別名「スパルタ農法」などとも
言われるような、野菜や果物にとって非常に過酷な農法です。
「植物」を「人」に変えて考えてみた際に、マネジメント層が勘違いしてはまずいなと
思うのは、「人」に単にスパルタをすればよい、ということではないと思います。
間違ってもデスマーチとかではないと思います。
これ何が違うのかと言われると、抽象的なことになってしまうのですが、
永田さんの根底にあるのは、「野菜や果物への愛」があるということ。
たぶん、それがあるかないかの違いなのではないかと思います。
抽象的だけど、とても大事な要素だと思います。
4.「安全でおいしい野菜をみんなに食べて欲しい」という想い
これは、会社であれば、ビジョンや方針などということに置き換えられると思います。
商品でも、人でもそうかと思います。
この想いがあって、様々な選択肢から最適なものを選ぶことができるだろうし、
いろんな人を巻き込みながら、一つの方向に向いて進んで行けるのだと思います。
この他にも、とても参考になるような話がたくさん載っています。
具体的な野菜の作り方、ということではなく永田さんという人の考え方や
永田農法というのはどういうものか、という話が中心の本です。
紹介した部分もだいぶ要約しているので、詳細は実際に本をお手に取って
みていただくとよいかと思います。
たぶんほとんどの図書館等にもあると思いますので、一度見て欲しいなと思う本です。
・追記:こちらに永田さんのインタビュー記事がありました。とても参考になると思います。
>> 農法指導者 永田照喜治 氏(イノベーティブワン)
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