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夕凪の街桜の国

本が好き!」からの献本の「夕凪の街桜の国」読み終わりました。

夕凪の街桜の国


この本は、いろいろなところで紹介されているし、この夏には映画化もされたため
ご存知の方も多いかもしれない。


作品の内容は、被爆後の10年と現代のお話の2本立てです。

30歳を過ぎた僕が今までに知り得た「戦争」そして「原爆」のことというのは、
本/映画/テレビ/漫画/祖父母/親せきのじいちゃんやばあちゃん/教科書からでした。

たぶん、同年代であれば、そんなに違いが無いと思う。

この中で、共通していたものがあります。
(それが今まで、僕の中の戦争の「イメージ」を作っていたのだが)

それは、「戦争=激しい攻防」という図式でした。

映画で見ると、かっこいい戦闘機にのり、ドンパチやり、
森の中に入った兵隊が、鉄砲でドンパチやり、人が入り乱れて
激しく戦い合う。

そして、最後は巨大なキノコ雲が立ち上がって、戦争終了、という流れです。

でも、実際にはそういうドンパチで亡くなった人や、ドンパチが起きている
状況というのは全体に比べてそんなに多くないそうです。

ほとんどがもっと陰湿(例えば化学兵器など)なものであったり、
普段の生活の中で、だんだん死に至るとか、強制的に死に至らしめられる
(穴の中に生きたまま埋められるとか防空壕の中で自決させられるとか)
というのがほとんどだそうです。

僕の祖父も兵隊として、満州に行っていました。

お酒が入ると、当時のことをよく話してくれました。

祖父の話には、僕が普段教科書やテレビや本や映画から知る情報よりも
もっとリアルな話が多くあり、とても興味深く聞いていました。

でも、祖父が必ず言葉が少なくなる話があります。

満州にあるとある病院にいた時の話です。

その病院では、毎日のようにどこかから、日本兵が多くの見知らぬ人たちを
連れてきていたと。

毎日毎日病院にたくさんの人たちが並んで連れてこられる。と。

でもね、その連れてこられる人はたくさんいるけど、出て行く人は1人もいないんだよ。


この話をする時の祖父は、元気がなくなり、言葉がとても少なくなります。

その人達はどうなったの?という質問に、「たぶん殺されたんだと思う」とか
「裏の山に埋められていたらしい」という言葉は返ってきますが、それ以上のことは
あんまり多くの語りたがりません。

それは、たぶんですが、
・思い出すのもつらい
・忘れてしまいたい
・どうやって言葉にしていいかわからない
・孫にこんなことを話してもいいんだろうか
などのいろんな感情が複雑に絡み合っているからなんではないでしょうか。


戦争の多くの被害者は、
「戦争にいくぞー!」と行ってなくなった人ももちろんですが、
普段の生活の中から突然しかも陰湿に「死ぬことを強制される」人達、
そして、生活をしながら徐々に徐々に長い時間をかけて亡くなって行く人、
そしてそしてその人たちの周りにいる家族や友人達というのが
ほとんどなんだと思います。


戦争というとてつもない経験をした人達がなかなか言葉にできない感情や
なかなか伝わりづらい多くの被害者の人たち、そして戦争がもたらすことに
ついて、100ページ超という短い漫画ですが、本当に凝縮されて書かれているのが
この「夕凪の街桜の国」という漫画だと思います。

早く読んでしまおうと思えば、30分とか1時間とかで読めちゃう量です。

でも、でも、普段速読の方も、できればこの本は一コマ一コマ、じっくりと
時間をかけて読んで欲しいです。
そして、少なくとも2回〜3回は読んで欲しいです。
毎回何かしらの新しい感情が出てくると思います。

みんながあまりにも「傑作」と言うと、そう言いたくなくなるのですが、
この漫画は別格だと思う。

素人の僕の意見ですが、本当に傑作だと思います。

是非読んでみて欲しいです。

そして、手元に置いて年に1回この季節に読み返してみたい本です。



夕凪の街桜の国

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