- 2007-04-04 (水)
- オススメ本・CD・DVD | 本が好き!
父親になって、1年ちょっとの父親見習いの自分にとって、フランスの父親達は
どんな生活を送り、どのような楽しみ方をし、どんな悩みを持っているのか。
そんな興味から読み始めた。
しかし、この本はフランスの父親を題材として、社会における「父性」にスポットを
当て、現代日本にもぴたっと当てはまるような問題を提起してくれているように思う。
冒頭、著者はこのように書いている。
権威というと、力ずくという意味合いがあるから、いつからか私たちはその言葉を嫌うようになった。
威厳という言葉も誤解を招きやすい。
だが、権威というのは、私たちが社会の一員として守るべき一線を示すものだ。
「自由」や「のびのび」ばかりが尊重される社会で、その一線さえ私たちは
鬱陶しく思ってないがしろにする傾向にありはしないだろうか。
しごく当たり前のことだが、社会というのは他人どうしの集まりであるから、
一定の線引きがなくてはどうしようもなくなる。
家庭も社会もぐずぐずになり、子供も大人もエゴばかりが肥大してしまう。
少子化の中で、親(特に母系)の視線に四六時中注視され、
自分と他人の境界がよくわからない子供が増えている。
日本はすでに、そうした社会になっている。フランスもそうした状況が珍しくない。
そんな中で、いま「父親とはだれ?」「父親とは何?」と問うことは急務だと思う。
この本の根底に流れるテーマがこの文章に集約されていると思う。
そして、
「父親って何?」と問い続けたい。なぜなら、繰り返すが、父性のない社会は生きにくいからだ。
と結ぶ。
著者はこのようなテーマを「フランス」という国の歴史と、社会の中で
どのように父性というものが失われ、どのようにその大事さに気づき、
どように取り戻してきているかを丁寧に記載してくれている。
これを読んで思ったのは、
母性というのは「目の前の危険を防ぐ防衛」
であり
父性というのは「遠くを見据えた、力強い成長」
と例えることもできるのではないかと思った。
例えば、母系は子供が転んでけがをしたり、子供が土を触ったり、動物を触ったりし
体を汚すといことを嫌う。
けがをして、体が不自由になったり、下手をすると死につながってしまう、
ということだったり、汚い状況にいることで病気になってしまったりすること
を懸念しての言動である。
でも、父性は、それをよしとする。
誤解を恐れずに極端な例で言うと、けがをして、例えば死に至ってしまったり、
体が不自由になってしまったりしても、それはしょうがないことのように思う。
ゆえに、父性と母性というのは矛盾を生むが、どちらが優れているとか、
正しいということではなく、両方がバランスよく存在する必要があるのだろう。
ある時にはどちらかが正しいし、ある時にはどちらかが間違っている。
というものだろう。
そのバランスを保つ、ということがとても難しいのだと思うが、一つの視点だけが
圧倒的に正しいということではなく、一見すると間違っているのではないか、
非効率なのではないか、と思われることにも大事なことは含まれているんだろう
と思うし、そのバランスを常に社会が見失わないようにしていかなければならない
ということに気づかせてくれる本だ。
- 著:浅野 素女
- 出版社:築地書館
- 定価:1890円
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